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2012年5月 5日 (土)

広谷喜十郎の歴史散歩 22

  田中英光の『オリンポスの果実』
 本年、7月のロンドンオリンピックが近づいて来た。関連する競技の話題が、何かと報道されるようになった。
 高知県人を父に持つ著名な作家・田中英光は、ロスアンジェルス大会にボート競技に選手として出場した。その父親というのは、岩崎鏡川である。高知市土佐山地区出身の歴史家である。『坂本龍馬関係文書』や『後藤象二郎』などをまとめている。鏡川の次男が英光で、宮内大臣・田中光顕伯から「光」の字をもらい、英光と命名したという。
 英光には、『オリンポスの果実』という名作がある。
 ロスアンジェルスへの行き帰りの船中でのさわやかな恋の体験を基に、小説化したものである。
 この大会に出場した高知県人・相良八重(高知市出身)は、女子走り高跳びで9位の成績を得る活躍をしている。
 英光の清純な恋の相手が彼女であった。父祖の地から来た土佐の女性に、船中で知り合えた喜びが、英光の淡い恋に発展したといえる。彼女との出会いの瞬間を
〈みじんも化粧せず白粉のかわりに健康がぷんぷん匂う清潔さで、あなたはぼくを惹きつけた。あなたの言葉は田舎の女子学生丸出しだし、髪はまるで老嬢のような、ひっつめでしたがそれさえ、なにか微笑ましい魅力でした(略)K県出身とある偶然がうれしかった。ぼくもK県といっても本籍があるだけで、行ったことはなかったのですが、それでも、この次、お逢いしたときの、話のきっかけが出来たとぼくは嬉しかった〉と、書いている。
 その後、お互いに高知県人であることを名乗り、親しみを増すのである。この時に、彼女がヨサコイ節を唄い、さらに踊り出す場面が感動的に描写されている。
 英光は、昭和10年5月初めて土佐を訪れている。その時の印象を『桜』という作品にまとめている。
 なお、英光の2男が、作家・田中光二で、冒険小説・SF作家として現代の文壇で大活躍している。
Dscf1450


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